真夜中のマーチ 読了

真夜中のマーチ (集英社文庫)

真夜中のマーチ (集英社文庫)

自称青年実業家のヨコケンこと横山健司は、仕込んだパーティーで三田総一郎と出会う。財閥の御曹司かと思いきや、単なる商社のダメ社員だったミタゾウとヨコケンは、わけありの現金強奪をもくろむが、謎の美女クロチェに邪魔されてしまう。それぞれの思惑を抱えて手を組んだ3人は、美術詐欺のアガリ、10億円をターゲットに完全犯罪を目指す!が…!?直木賞作家が放つ、痛快クライム・ノベルの傑作。

 うーん、なんとも爽やか。
 冒頭からヨコケンが飛ばしてて、これはなかなかに重い話なんじゃないかと思いながら読み進めていくと、ミタゾウが登場する辺りから、おや? ヨコケンの様子が・・・・・・?
 なんといきなりギャグキャラに! 悪いヤツじゃあないってことだね。・・・・・・いや、そこまで悪くないヤツか。
 そしてなんとも強かなのがミタゾウ。こいつ色々な意味でどうしようもないんじゃないだろうか。しかも役得多し。ヨコケンにしてみれば最後まで憎らしい男だよなぁ。

 そしてかわいそう(?)な男も約一名! フルテツェ・・・・・・。きっと新たな領域に足を踏み入れて今後を生きていくに違いない! がんばれフルテツ(苦笑)

15×24 link three「――裏切り者!」 読了

「――裏切者!」 ついにサスペンス始動!
〈17〉とネット心中を図るため、徳永準は〈捜索隊〉の包囲網から再び脱出に成功。彼の噂は巨大な都市伝説と化す。一方、謎の男・ファブリも《名簿》の入った携帯電話を奪回すべく暗躍を開始する!

 話のテンポは落ちるどころか更に加速。すさまじいな、こりゃ。
 しかも死人が出るなんてまさか思いもしなかった。でもこの事実が話に緊張感を持たせているのだと思うし、大人たちの存在感をことさら強くしてる。
 
 巻数としては折り返し地点。ついに刑事まで話しに巻き込みはじめた。
 捜索隊のメンバーたちにも少しずつ実害が及び始め、こっからラストへ一直線なのか、はたまた更にどんでん返しが待ち受けているのか、まったく予想が付かないけど、もっと面白くなるのは間違いないはず。
 うああ、★六つもんだわ!

鍵開けキリエと封緘師 小箱は開くのを待っている 読了

「わたしはね、大統領だよ。退屈していたところなんだ。お茶は出せないけれど、ゆっくりしていくといいよ」目にしたすべての鍵を開けずにはいられない衝動と、天才的な解錠技術をもつ少年キリエは、好奇心旺盛な妹ミドリカに連れられ禁断の「監獄砦」を訪れた。そして43もの鍵を開けて辿り着いた尖塔の最奥、不思議な檻の中で優雅に微笑み“大統領”と名乗る美女と出会う。彼女の檻は、どうしても開けられなかった。「鍵があれば、開けるだけ」―“大統領”の檻を開けることを少年が決めた夏、“失われたはずの力”が甦る。自分が何の鍵を開けようとしているのか、少年に考える間も与えずに…。

 絵買い。まあまあ当たりかな。
 全体的にノスタルジックな雰囲気が漂っていて、読みやすい。それに童話っぽさもあるように感じた・・・・・・かな。
 いい意味でラノベっぽくないかな? 学級文庫にあってもいいかもしれない(笑) 話を楽しむというよりも、文章の雰囲気を楽しむ作品だと思いました!

テスタメントシュピーゲル1 読了

西暦2016年、国際都市ミリオポリス。憲兵大隊に所属する涼月、陽炎、夕霧は今日もささやかな休息を寸断され、テロリスト集団と対峙していた。機械化された肉体を武器に重犯罪者と戦う“特甲児童”、だがその心にはいまだ癒えぬ痛みがある。単純に見えた事件の奥に過去へと繋がる断片を見出し、独自の調査へ乗り出す少女達。公安高機動隊の鳳、乙、雛らも巻き込み、事態は重大な局面へ…。「シュピーゲル・シリーズ」待望の新章突入。

 オイレンとスプライトが合流してテスタメントに。それにともない、絵がフミカネに! ま、今回はオイレンみたいなもんですが。
 情報量があまりに多すぎて・・・・・・一気読みすると頭が追いつかなくなりそうなので他の本を読むごとにこちらを一節読み進める、という手法を採ったのだけれど、さてそれが良かったのか・・・・・・。
 正直、これでも理解し切れてない。でもまずは完結を見届けたいので・・・・・・というか、続きはいつ出るんだかって感じだけど。
 おそらくは『光圀伝』が出るんだろうね。あとは『ヴェロシティ』の完全版が〜みたいな噂もあるけど真相はわっかりませぬ。積んでる本の量はあるので気長に待ちますか。

15×24 link two 大人はわかっちゃくれない 読了

縮まらない準との距離に焦燥する捜索隊。同じ頃、準のブログの存在が明るみになってしまい、捜索隊の一部は謎の男にケータイを奪われ、連絡がとれなくなり…? 大晦日の群像劇、第2弾!

 またも登場人物が大量投入されて頭が大変なことに。
 今回はファブリを中心に、大人たちが目立ち始めた巻でした。
 しかしなかなか裏が見えてこない死にかけじいさんと、波美と凪が気になるね。今後の話にどう絡んでくるのか・・・・・・。
 捜索隊のほうはササウラがすげえ活躍っぷり。1巻でのやる気のなさとはなんだったのか。反面、ダメダメなのがマーチ。クズっぷりを遺憾なく発揮。でも表紙には出マース! なんてヤツだ。
 そしてついに<17>の視点がログイン。こいつも15人の一人なのね。さて残りの一人は・・・・・・?

15×24 link one せめて明日まで、と彼女は言った 読了

15人の24時間! 渾身の一日。問題作!
高校生・徳永準の自殺予告メールがネットに流出。友人・笹浦は東京のどこかにいる彼を止めようと捜索隊を結成する。ライトノベル史上〈もっとも長い一日〉がはじまる!!

 毎度のことだけど、自分で読んでみないとわからないね!
 読む前にちょろっと感想を調べてみたのだけれど、読みづらいとか展開がのっぺり云々って感想がやや多め。
 さてどんなもんなのかねといざ読んでみれば、


 すんげーおもしれえじゃん!!!


 そうか、群像劇だったかぁ。キャラの数も多いし、そりゃ好き嫌い別れるよな、と。しかも著者が新城カズマな時点で多少“ズレ”たものが来るのは明らか。
 しかし、十を超えるキャラをしっかり書き分けているのはさすが。
 話もキャラ短い間隔で入れ替わり展開していくからもうページをめくる手が止まらない。
 いやもう、続きが気になって仕方がない。

フィッシュストーリー 読了

フィッシュストーリー (新潮文庫)

フィッシュストーリー (新潮文庫)

最後のレコーディングに臨んだ、売れないロックバンド。「いい曲なんだよ。届けよ、誰かに」テープに記録された言葉は、未来に届いて世界を救う。時空をまたいでリンクした出来事が、胸のすくエンディングへと一閃に向かう瞠目の表題作ほか、伊坂ワールドの人気者・黒澤が大活躍の「サクリファイス」「ポテチ」など、変幻自在の筆致で繰り出される中篇四連打。爽快感溢れる作品集。

 ええ感じの話が四つ。特に注目すべきは、実に50パーセントを超える黒澤率。ここまで読んできた人間からすると、この黒澤率は嬉しい。だって、今まで黒澤が出てきた話でつまらなかったのはないし。
 基本的にはどの話もいつもの伊坂って感じなんだけど、「サクリファイス」だけはちょっと異色の出来。まず、辺境の村が舞台というところからしていつもと違う。雰囲気も心なしかどろっとしてる。ま、そんなこと言っても読みやすいのはいつもどおりなのでご安心を。