重力ピエロ 読了

重力ピエロ (新潮文庫)

重力ピエロ (新潮文庫)

兄は泉水、二つ下の弟は春、優しい父、美しい母。家族には、過去に辛い出来事があった。その記憶を抱えて兄弟が大人になった頃、事件は始まる。連続放火と、火事を予見するような謎のグラフィティアートの出現。そしてそのグラフィティアートと遺伝子のルールの奇妙なリンク。謎解きに乗り出した兄が遂に直面する圧倒的な真実とは―。溢れくる未知の感動、小説の奇跡が今ここに。

 なかなかよかった。言われてるほどではないな、とも思ったけど。
 ラストのあるセリフを知ってたのがまずかったかな。知らなければ★は五つだった。このセリフが来ることを知ってしまっていたから感動がちょっと薄かったんだよね。恐らく知らなかったのならば目から汁出てきてたと思う。
 この作品のテーマは「遺伝子」ということもあって、遺伝子についての会話が非常に多い。あ、いや、でもゴダールも同じくらい出てきたような気もするぞ・・・・・・?
 真相そのものはわかりやすいね。ある程度読むと簡単にわかっちゃう。でもこの作品の読みどころは事件の真相じゃなくて、会話にあると思うんだな。読んでてどこかひっかかる言葉が妙に多い。印象的なんだろうなあ。最初の一文と最後の一文が同じなのにもグッときた。この一文があるかないかでずいぶんと作品のイメージが変わるんじゃないかな。
 
 今回もクロスオーバーしてた。伊藤がフラッと出てきて、黒澤はけっこう話に食い込んでた。にしてもラッシュライフを先に読んでいると葛城が笑えて仕方ない。